解答2.55
- 溶融張力の向上と成形安定性
金井俊孝, 高分子, 42 (9), 752-757 (1993)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/42/9/42_9_752/_article/-char/ja
Kyucheol Cho, Byung H. Lee, Kyu-Myun Hwang, Hoseok Lee, Soonja Choe, Polym. Eng. Sci., 38 (12) 1969 (1998)
溶融張力(メルトテンション)の強化: LDPEは長い分岐鎖(長鎖分岐)を持つため、直鎖状のHDPEと比較して高い溶融張力を持っています。HDPEにLDPEをブレンドすることで、混合物の溶融張力が大幅に向上します。
バブル安定性の向上: フィルム成形(インフレーション成形)において、この高い溶融張力はバブルの安定性を向上させます。これにより、成形中の破断や不安定挙動が抑制され、より安定した加工が可能になります。
- ブロー成形におけるパリソン特性の変化
城本征治, 成形加工, 16 (7), 408-410 (2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikeikakou1989/16/7/16_408/_article/-char/ja
ドローダウンの抑制: 溶融張力の向上により、ブロー成形時に自重でパリソンが伸び下がる「ドローダウン」現象を抑制し、成形性を改善することができます。
スウェル比の変化: LDPEはHDPEに比べて肉厚スウェル(厚み方向の膨らみ)が大きく、逆に径スウェル(直径方向の膨らみ)が小さい傾向があります。
カーテン現象の低減: 大型ブロー成形で見られる、パリソン形成時のしわ(カーテン現象)は、肉厚スウェルが増加することで減少します。そのため、LDPEのブレンドにより肉厚スウェルを調整することで、この不良を低減できる可能性があります。
- 流動性と混練状態
Kyucheol Cho, Byung H. Lee, Kyu-Myun Hwang, Hoseok Lee, Soonja Choe, Polym. Eng. Sci., 38 (12) 1969 (1998)
溶融状態の混合: HDPEとLDPEのブレンドは、溶融状態では実用的に良好に混ざり合い、対数加成則に従った粘度挙動を示します。
せん断速度依存性: 高せん断領域(実際の成形加工条件に近い状態)では、加工が容易になります。
一方で、冷却固化の過程ではHDPEとLDPEは分離して結晶化するため、最終的な成形品の機械的物性(引張強度や衝撃強度など)は、それぞれの成分比率や結晶化状態に依存して変化することに注意が必要です。

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