問5.31 ポリプロピレンに酸化防止剤が添加されている。その理由を説明してください。

解答5.31
ポリプロピレン(PP)に酸化防止剤を添加する主な理由は、重合しただけのPPは実用できないからです。加工時や使用時の熱・酸素・光によって著しく性能が低下してしまう。
・物性が低下する理由は酸化劣化により分子量低下すること
PPの主鎖には3級炭素(メチル基が結合した炭素)が周期的に存在し、ポリエチレンと比較して二つの大きな問題を起こします。3級炭素に結合している水素は解離エネルギーが小さいため、ペルオキシラジカルや熱・光によって引き抜かれやすく、アルキルラジカルを生じやすい性質があります。二点目は、分子内反応でβ切断を起こして分子量低下することです。
・加工時・実用時の酸化劣化
成形加工時(加工安定性):200℃以上の溶融加工時に、剪断力と熱によってラジカルが発生し、熱劣化します。
長期使用時(長期熱安定性):150℃以下の固体状態でも、空気中の酸素と反応し、長期的な物性低下(脆化・クラック)を引き起こします。
・このような劣化を抑える薬剤が酸化防止剤
一般的に、以下の2種類の酸化防止剤を配合(処方)して相乗効果を狙います。
一次酸化防止剤(ラジカル捕獲剤) ヒンダードフェノール系 酸化防止剤は、発生したポリマーラジカルに水素を与えて不活性化し、自動酸化の連鎖を遮断します。 |
二次酸化防止剤(過酸化物分解剤) リン系あるいは硫黄系酸化防止剤は、中間体として生じたヒドロペルオキシドを非ラジカル性の安定なアルコール構造へ無害に分解します。
酸化防止剤は反応の結果として消耗していくので、リン系酸化防止剤は成形加工の過程で大きく消失することに注意が必要です。

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