問2.46 ポリプロピレン(PP)の分子量分布は、劣化によっても変化します。PP分子鎖の切断の化学反応を説明してください。

解答2.46
熱・光による自動酸化過程での分子鎖の切断反応は、β切断と言われる。
無酸素熱分解でのβ切断(アルキルラジカルの反応)
PPのように三級炭素からの水素引き抜きが起こる場合に、分子内反応としてβ切断が起こります。三級炭素上のラジカルなので、場所の制限はなく分子鎖のどこからでも切断する。すなわち、ランダム切断が起こる。
澤口孝志, マテリアルライフ学会誌 , 14 (2), 63 (2002)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mls2001/14/2/14_2_63/_article/-char/ja
酸素存在下の過酸化物の分解によるβ切断(アルコキシラジカルによるβ切断)
後藤直宏, オレオサイエンス, 23 (4), 221 (2023)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/23/4/23_221/_article/-char/ja
光劣化による分子鎖の切断は、別のメカニズムになります。ポリプロピレンの分子鎖はC-C結合なので、可視光線で開裂することはありません。光劣化の起点はカルボニル基であり、Norrish I反応により、分子鎖切断します。このカルボニル基の由来は正確には判りませんが、無酸素重合後にラジカル活性がある段階で、大気下に反応物が出てきたときに生成すると考えられます。マクロラジカルの位置はランダムなので、カルボニル基の位置もランダムになります。
筏英之, 繊維学会誌, 47 (9), 510 (1991)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fiber1944/47/9/47_9_P510/_article/-char/ja

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